〈司会〉先生、お忙しいところ“BAGUS!”メンバーのためにおいで下さいましてありがとうございます。本日は、ただいま日本でも静かなブームになっていますアロマテラピーに関連して、香りに関する色々なお話を聞かせていただけるということで生徒数人で先生を質問責めにしてしまおうという企画です。よろしくご指導下さいませ。
〈司会〉まず、先生のアロマテラピー歴をお伺いしたいと思います。
〈智子先生〉アロマテラピーは西洋漢方薬のようなものなので奥が深く、一つのオイルでも何種類もの効用があるので、その組み合わせは限りなくあり、私が興味を持ってから10年ぐらいになりますが、なかなか覚えきれなくて、本を読み返したりしながらボチボチやっております。
〈司会〉まずは基本的なお話から伺えますか。エッセンシャル・オイルってどんなものなのでしょうか?
〈智子先生〉健康のためにマッサージに使ったり、お風呂に入れるのであれば
エッセンシャル・オイルが一番です。それは、 エッセンシャル・オイルはラベンダーなら花、ローズマリーなら葉から圧搾したり、冷浸抽出したり蒸溜して作ったものなので、一番成分が凝縮されているからです。また
エッセンシャル・オイルまたは乾燥ハーブの方が種類が多いので、用途とか身体の症状に合わせて、ブレンドして使えます。話しが長くなってしまうのですが、揮発の速度によって、
トップノート:もっともスピーディーに効果をあらわすもの。一番はやく蒸発するも
の。
例えば、セージ、バジル、ベルガモット、ユーカリ、レモン、レモングラスなど
ミドルノート:揮発性が中位のもの。主として体の機能、たとえば消化・生理および体の代謝の全体といった機能に影響するもの
例えば、カモマイル、ジュニパー、ラベンダー。ローズマリーなど
ベースノート:蒸発するスピードが比較的おそいもの。(トップノートとブレンドするとその精油の揮発性を引き止めるのに役立つ)鎮静させ、リラックスさせる力が一番強いもの。
例えば、イランイラン、サンダルウッド、ジャスミン、ネロリ、ローズバッズ、パチュリーなどに分けられます。
〈ますみ〉ところで、肩こりなどをほぐすにはオリーブオイルが即効あります。
患部に薄く伸ばすだけ、見る見るウチに楽になります。 なんて、これはエッセンシャルオイルには入りませんよね。
〈智子先生〉私はオリーブ自体の効能についてはよくわかりませんが、アロマテラピーではキャリア(carrier)・オイルとして、ホホバとかアプリコットとかグレープシードとかスィートアーモンドのオイルにエンセンシャル・オイル(日本語では精油と呼ばれています)を数滴入れてマッサージします。一番からだへの浸透がよくてサラリとしているのがホオバ油で、これに症状に応じてエンセンシャル・オイルを決めて(通常2〜3種類ブレンドします)混ぜ合わせてマッサージに使います。
分量ですが、キャリア・オイル25mlにたいしてエンセンシャル・オイルを合計で10滴ぐらい入れて使います。エンセンシャル・オイルは1種類でもかまわないのですが、色々組み合わせるところブレンドした香りに意外性があって楽しさがあります。
日本では5年前位からブームになっていますが、アロマテラピーの本場はイギリスやフランスで、昔から日本の漢方薬のように使われてきたみたいですよ。ハーブは湿度の高い日本の気候に向いていないので育てにくい物もありますが、ヨーロッパでは育てやすいので御自分の家で育てたハーブをお茶にしたり、お風呂に入れるのもまた楽しいと思います。
〈ますみ〉スイスでもここ数年アロマテラピーが静かなブームです。時々講習会の案内や本が目に止まります。何時も気にはなりつつ、見過ごして来ました。
ちょっと質問です。ここでいうキャリア・オイルと言うのはマッサージオイルの事でしょうか?
つまり、精油を混ぜる前の基礎オイルという意味ですが。このキャリア・オイルは別に何を選んでも良い訳ですね?
〈智子先生〉何を選んでもかまわないのですが、オイルによっては速く酸化してしますものもあるので.....以前にも書きましたが、さらりとしていて肌に吸収の良いのがホホバ油です。また、酸化をふせぐために酸化しにくいオイルとブレンドして使うという方法もあります。
それからエッセンシャル・オイルについての基本な事ですが、肌に直接つけて良い物はラベンダーだけです。日焼けややけどをした時にラベンダーを直接塗ると効果てきめんです。
〈ますみ〉肌につけて良いものとわるいものがあるというのも知りませんでした。これは智子さんの影響で深入りしそうです。
〈春名〉アロマテラピーについて私も最近ちょっと興味があるんです。ロンドンで勉強してきたと言う人に話を聞いて、ラベンダーとユーカリを最近使っています。
先月、息子の風邪をもらって喉のイガイガとタンがからんで苦しんでいたときにユーカリをティッシュに数滴染み込ませてそれを口と鼻にあてて思いっきり吸いこんだんです。
そしたらゲホゲホゲホ!!!と、咳が出て喉のイガイガもタンもそれで治ってしまったんです。嘘みたいな本当の話です。
息子にも試したかったのですが、2歳の子に吸え!と言っても無理なので、寝ている間にオリーブオイルにユーカリを数滴たらしたものを胸に塗ってあげました。その晩から息子の咳はすっかり治ってしまいました。
妊婦だし、子供は小さいしで市販の薬はなかなか試せないのですが、アロマなら・・・と思ってちょっとはまってしまいそうです。
〈智子先生〉妊娠中は避けたほうが良いエッセンシャル・オイルがあるのでお知らせしておきます:
バジル油、シナモン油、クローブ油、ヒソップ油、没薬油、ペニロイヤル油、セージ油、セーボリー油、タイム油などです。
クラリセージはセージと異なるものなのでたぶん大丈夫だと思いますが。
それから、エッセンシャル・オイルは幼児に使ってはいけないものもたくさんあるのです。
以下に使用可能なのもをあげてみました。
生後0ヶ月から12ヶ月まで:ラベンダーかカモミール
使用方法:(1)湿布 (2)室内で芳香拡散 (3)エッセンシャル・オイル1滴を15mlのキャリア・オイルに入れて希釈しマッサージか沐浴に使う
1才から6才までの幼児:ティートリー、ラベンダー、かカモミールで使用方法は赤ちゃんと同様
13才以上:大人と同様に使用できます。
〈春名〉妊婦が避けたほうが良いものって沢山あるんですね。お勉強になりました、ありがとうございます。
妊婦や幼児にはダメなものがあるということは聞いていたのですが、覚えきれないので大丈夫だよ、といわれたラベンダー・ティートリー・ユーカリだけを使ってます。
主人が『それは妊婦でも平気なの?!』と毎度毎度聞くので、だんだん私のほうも自信が無くなって来たりして。
睡眠作用のあるクラリセージってご存知ですか?
試してみたいのですが、オランダ語訳がわからなくて買えないでいます。
寝つけないときにかぐと一発で寝てしまうと言うちょっぴり危険な香りらしいです。
〈智子先生〉クラリセージは英語の学名はSalvia sclareaですが、残念ながらオランダ語はわかりません。
不眠症に効果があるオイルにはクラリセージの他にラべンダー、バジル、カモミール、ジュニパー、ネロリ、バラなどもあります。
クラリセージは独特のにおいなので好きずきがあると思います。
無難なのはラベンダーとかカモミールなどだと思います。
スリーピング・ピローという小さな枕(乾燥したハーブを中に入れた手のひらサイズのもの)を作って枕元においたり、カモミールはハーブティーとして寝る前に飲むことでも有名です。面倒なら、ハンカチにエッセンシャル・オイルを数滴たらしたものを枕元においても十分効果があると思います。1種類で利用してもよいですし、2〜3種類まぜてブレンドするのもまた思わぬ香りに出会ったりして楽しいものです。ただし、以前にも書いたように自分が気持ち良いと思うにおいでないと、効果はないと思います。
逆に不快になって、リラックスできなくなったりして、眠れなくなりますから。
<さより〉次から次へと出てくる良い香りのお話。智子さん、本当に詳しいですねえ。読み進むうち是非とも試してみたくなりました。
私もポピュラーなラベンダーは浴槽にたらしたりしたことはありますが、こんなに効用が多種多様とは・・・
室内での芳香拡散手段として一番のお薦めは?
今身近にある香りはオイルではなく、バス・パヒュームの「シトラス」と森のかおりの「ウッド・チップ」です。香りのキャンドルもたくさん売っていますが、やはりエッセンシャル・オイルが一番?
〈智子先生〉アロマ・ポットという芳香拡散専用の器具(おおげさかな?)があります。陶器とか磁器とかガラスでできていて、下によく旅館の一人用お鍋の固形燃料に使用されているロウソクを置く場所があり、上の方にエッセンシャル・オイルをたらす所がる構造になっています。下からロウソクの炎の熱ですこしずつエッセンシャル・オイルが蒸発するようになっています。最近の日本雑貨ブームでよく雑貨屋さん(おしゃれな、若者用の)でみかけますよ。値段も安い者、1000円ぐらいからあります。
私は寝る時に使う事が多いので、電球の熱で蒸発するような物を使っています。これはちょっとお高くなりますが、5000円ぐらいだったでしょうか?
ネコちゃんがいて、ロウソクをひっくり返したりして、火事が心配ならば電気の方をお薦めします。
一番簡単で安上がりなのは、小さいボールに熱湯をはって、その中にエッセンシャル・オイルをいれても蒸発させる方法です。ちょっとムードには欠けますが....
〈ますみ〉 私が今ほしいのはなんて言いましたっけ、アールグレイティーに入れるオイルの名前…今どうしても思い出せません(;_;)
とっても美味しいダージェリングが手に入ったので、このオイルがあれば美味しいアールグレイティーが出来るんじゃないか?なんて思い付いたのだけれどどうでしょう?出来ますよね?
〈智子先生〉それはベルガモットです。
今本を調べましたが、ベルガモットは抑うつ、不安、スキンケアにとても有効と書いてあります。キーワードは精神的な高揚だそうです。
〈ますみ〉ベルガモットは、簡単に言えばハイにしてくれるわけですネ。おもしろいですネ、私が毎日アールグレイを飲んでいたのは時期的に色々な問題を抱えて沈んでいた頃でした。
ハーブを育てるのは手間が掛かるので、しませんが、ハーブティーは好きで良く飲みます。
風邪引きの時には私のブレンドがあって、カモミール、ミント、菩提樹の花、フェンヒェル(Fenchel)を合わせて、少し冷ましてから蜂蜜を入れます。夏場に冷やして飲むアイスティーにはレモングラスや、フルーツティーを使います。
冬に美味しいのはフルーツ(オレンジ、アップル、ニワトコの実、ベリー類等)と、シナモンやジンジャーが入ったミックスティーでぽかぽかと温まります。
〈智子先生〉冬のバージョンも素敵ですね。ますみさんてブレンドのセンスがおありなのではないでしょうか。
私などは調子の悪い時はそのためのブレンドを薬のようにいたしますが、それ意外はアメリカで売られている安直なできあいのハーブティーを飲んでいます。
〈ますみ〉私は自分でブレンドするのは風邪引き用のものだけです。それもティーバックを一個ずつポットに投げ込むだけという、色気なさ…他の物はすでにブレンドされています。
冬のブレンドは、日本語にしたら“暖炉の火”というような名前のミックスティーです。500グラム入りの袋です。シナモンやジンジャーが利いているので、強過ぎるという人も中にはいます。私もまたコロラドから取り寄せられているCelestialSeasoninsというブレンドを良く飲みます。これもティーバック、Sleepytime、Morning‐Tea、BengalSpice など、美味しいです。
来週から日本なので、エッセンシャルオイルに関する本を時間があったら探してみようと思います。何かお薦めの本がありましたら教えて頂けますか?
〈智子先生〉私は最近本屋さんでアロマ関係の本は見ていないのですが、ブームでたくさん出版されているようです。
アロマ・テラピーの本場はなやり英国なので専門書になると翻訳の物が多くなります。日本のアロマ・テラピーの第一者は高山林太郎という方で、かなりの翻訳物を出版しています。私が以前に買った本で比較的コンパクトにまとめられていると思った本は:
最新アロマテラピー・ガイドブック
著者:クリスティーン・ウエストウッド
翻訳者:高山林太郎
出版者:フレグランスジャール社
定価:1,300円
〈ますみ〉アロマテラピーの本を紹介してくださってありがとうございます。是非探して見るつもりです。
〈司会〉参考になるお話をたくさん聞かせていただき、ありがとうございました。では一同「礼!」